[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
上記曲のイメージ小説。
歌詞の引用が多く、小説というより曲の補助のようなイメージ。
「ごみばこ」の続き。
シバション様からの削除依頼があった場合削除いたします。
一人に慣れるなんて、絶対にあっちゃダメなんだよ
【 サルベージ 中編 】
力無く白い箱に背を預けてから、どのくらいの時間が経っただろう。
どうして、ねぇ。
あたしの心は、今までにないほどの記録的な嵐なのに、あたしを包み込む空は、嫌になるくらい青いの。
なのにあたしは、この青い空に手を伸ばす。掴むものなんて、無いのに。
手の平越しに青空を見る。何も無い。嗚呼、このミスマッチさに嫌気が差す。
あんなにこの青空が好きだったのに、それは、レンが隣に居ないと、全然意味がないんだ。
そっか、今、あたしの隣に、レンはいないんだね。
ようやく孤独を自覚する。
初めてだよ、レンがいないことなんて。
それでそれがすごく不自然なんだ。
だっておかしいよ。いつも一緒に居たのに。
この背を預ける人がいつも居た。一緒に歌う人がいつも居た。言葉を返してくれる人が居た。
その人が、今は居ない。
あたしが存在して、レンだけが消えていくなんて。なんでレンだけなの?あたしはどうなるの?
不安がどんどん増幅されて、同時に他の感情がどんどん後退して、無気力になっていくの。
ぎゅっと両手を握る。
もしも神様という人が居るのなら。
神様。レンを助けて。
レンを返して。レンを見つけて。レンを連れてきて。あたしをレンのところに連れてって。レンを…助けてよ…!
神様、こんなに祈ってるんだよ。
そろそろ、叶えてよ…!!
ウンともスンとも言わない青空。
答えない神様。
神様なんか頼っちゃダメだ。レン、レンが頑張らないと、戻ってこれない。
今すぐ戻っておいで!
隣で、居場所で、ずっと待ってるから!
――怖くないよ。平気だよ――
嘘つき!
どうしてそんな嘘をつくの?!
怖いくせに。平気じゃないくせに。
わかるんだから。あたしには、レンの心は筒抜けなんだから!
だからそんなこと言わないで!
――じゃあ、おやすみ…――
寝ちゃダメ!
最後まで諦めないでよ!
レンは、あたしが起こさないと、自分で起きられないでしょ…!
レンの心が、一切聞き取れなくなった。
機械のコードを無理矢理引っ張って接続を切ったように、唐突に。
ザアザアと砂嵐のような音が響くだけ。
それは、レンの最期を伝える無機質な電子信号。
空っぽになる心。
ゆっくりと重力が下に傾く。
暗い空間に導かれる体。
手を伸ばしてもやっぱり届かない空。
嗚呼、あたしも朽ちて果てるのかな…。